中川産科婦人科ドクターのプレママセミナー

第8回:妊娠中のくすりについて


  「まさか妊娠しているとは思わなかったので薬を飲んでしまった!」
  「妊娠中なのにお医者さんに行ったら薬を処方された。本当に飲んでも大丈夫?」という体験をしたことはありませんか? 
   妊娠中の薬剤服用に関しては慎重にしたいものですが、多くの薬剤は心配ないものが多いのです。
   正しい知識をもって、必要な薬はきちんと服用するようにすることが大切でしょう。 

『妊娠時期による胎児への影響』
 赤ちゃんに対する薬剤の影響は妊娠時期によって異なるので、まずは正しい妊娠週数の数え方を知ることが必要です。妊娠時期を表すのには「週数」が用いられます。妊娠が成立するのは月経周期が28日の方なら、最終月経の後の排卵の時(最終月経開始日から2週0日)なので、実は「妊娠1週6日」までは妊娠も成立していません。妊娠4~7週までは胎児の体の原器が作られる器官形成期で、奇形を起こすかどうかという意味では最も過敏性が高い「絶対過敏期」ですが、この時期には本人も妊娠していることに気づいていないことも多いでしょう。

『服薬の前に』
 妊娠中に服用すると危険な薬というのは実際にはそれほど多いものではありません。特に何かの病気があってその治療のために薬を常用している人は、自己判断で薬を中断してしまうとかえって赤ちゃんにも危険を及ぼすことがあります。たとえばてんかんや甲状腺疾患に罹っている女性が妊娠した場合、抗けいれん剤や抗甲状腺剤には胎児への奇形性が報告されているものもありますが、もともとの病気のコントロールをすることが妊娠の維持には重要です。複数の薬を飲んでいる人は種類を減らしたり、より安全性の高いものに変更するなどの工夫をすることで、危険性を減らすことができますので、主治医と相談してみましょう。

『既に服薬してしまったとき』
 「妊娠と気づかずに服用してしまった」という場合でも多くの薬剤は赤ちゃんへの影響はあまり心配ありません。それでもまだ心配な場合には国立成育医療研究センターの妊娠と薬情報センターへ問い合わせてみましょう。
 また通常、2~数パーセントは生まれつきの形態異常をもった赤ちゃんが出生します。もしも赤ちゃんに異常があったとしても多くの場合はその原因が不明で、たとえ薬剤を使っていたとしても、すぐにその薬剤のせいであるとは言えません。薬を服用してしまったからと言ってすぐに赤ちゃんを中絶することを考えたり、余計な心配をし過ぎるのもよくありません。また必要な薬剤はきちんと服用することも大切ですので、専門家によく相談することが大切でしょう。




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