message for kids

第34回:心をうけとること


 もう20年ばかり前のことです。
 友だちとけんかして一緒に帰れないと悩んでいることを日記に書いている子がいました。「先生が話してみようか。」と声をかけると、「もう少しがんばってみます。」とのこと。心配になってその子のお母さんに話すと「先生、これから先、いろいろな困難に出会うと思います。今のような経験で人の気持ちがわかる子になると思うので、もう少し見ていてください。」と話されました。高学年でしたが、子ども自身の心の強さ、保護者の子どもへの信頼感の大きさに私自身が教えられた思いでした。しばらくして、「先生、私の方から声をかけてみたら友だちも待ってくれていたみたいで、仲直りできました。」と笑顔で話してくれました。
 子どもが困ったことに出会うと、親は心配のあまり、すぐに解決したくなります。私たちは子どもの困り感に寄り添いながらも自ら解決できるような力を身につけさせるにはどのような接し方をすればよいのでしょうか。


●変化に気づく

 毎朝、門のところに立って挨拶していると、日々の子どもの様子の変化に気づくことがあります。以前と異なり、表情が寂しそうな子がいます。担任に伝え、話を聞いてもらうと、人間関係で悩んでいることが分かりました。解決したいというより先生に聞いてもらいたかったのでしょうか、少しずつ元気を取り戻した例もあります。自分の気持ちを受け取ってくれる誰かがいるだけで子どもは勇気付けられることもあります。家庭でも同じことが言えるでしょう。


●傾聴すること

 「元気がないけど、大丈夫?」など、心配していることを伝えてみると、少しずつ話し始めることがあります。つらい気持ちを受け止め共感しつつも、そのような状態に至った経緯や理由や言い分を聴きます。聴くほうもつらい気持ちになりますが「うんうん」と相づちをうつなどしてひたすら聴きます。決して感情的になってはいけません。気持ちが分かってはじめて冷静に客観的に論理的に対応策を考えることができるというものです。気をつけたいことは、相手がいる場合、相手からの見方も聞く必要があります。子どもは、自分の側から見たことがすべてのように感じますが、嘘ではないにしても全てではないことを私たちは、心得ておきたいものです。一緒に解決の道を歩むことができれば、子どもは、人との関係をつくっていく力を身につけ、またひとつ大きく成長することでしょう。






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