岸畑流子育て論

Series-2:聞かせていますか?

 「聞いてあげる行為」と「聞かせる行為」は、比例せねばなりません。しかし、「聞かせる行為」ほど重大であるということを、お母様は、ご存知でしょうか。今回は、「聞かせる行為」についてお話をしましょう。

 「赤ちゃんには、どうせまだまだ言葉なんてわからないから。」という大人の勝手な解釈で、寝かせておく母親が、少なくありません。それは、大人が外からの反応だけを、見ているが故に発する言葉なのです。
 子どもは、3歳までにベースとなる表現力のかなりの部分を、母語を基礎として学習をしていきます。母語の学びは、生まれたその日から始まり、すぐに言葉を学習し始めます。聴覚が最初に発達するので、赤ちゃんは、耳から情報を取り入れ始めます。生後、5日目には、意味もない言葉の配列よりは、母親の母語と同じ言葉に反応が見られるといいます。また、母親の声や匂いに反応するのです。だから、5日目からは、カラフルな絵本を見せ、優しく読んで聞かせるのです。声に対する敏感さは、生後12か月までの「環境」から聞き取って、「音」によって決まってくるからです。この母親の声の反応は、正しく聞くという行為から言語的知性を身につけさせる第一歩と言えるでしょう。また、カラフルな絵本からは、視覚を通して絵画的感情的知性を身に付ける第一歩となるでしょう。

 言葉を受け止めるための基礎ができると、1歳半から6歳くらいまでの間に、一日に8〜10単語の割合で、母語の単語を覚えます。それは、実際に体験をしながら覚えていくので、辞書の意味とは関係なく理解することができます。
 例えば、積木を触っている時には、「あか」という名詞言葉だけを母親は教えようとします。これでは、単語だけを並べる言語生活に過ぎず、「聞かせるという生活」や、「聞くという生活」すら不可能なのです。「あかいつみき。」を、「あかいろでまるいつみき。」「まるくてあかいつみき。」のように、言い換えて耳に訴えてみましょう。また、その積木の重さや触ったときの様子等、「おもい。」「つるつるしている。」「コトンと言った。」…。「あかいのは、リンゴ、イチゴ、あらら、ポストも…。」正しい日本語が分からなくても、耳に入れておくだけで「聞こう。」という姿勢と、常識や基本文型までが身についてくるのです。

 まだ、赤ちゃんだ。まだ、3歳だ。まだまだ大人の言葉は分からないという親心を一端捨ててみましょう。ここまで、読んでくださったご兄弟をお持ちのお母様は、きっとうなずいておられませんか。兄や姉は、妹や弟のために、平易な言葉を使って表現をしていません。兄や姉の生活年齢で、または、お父様やお母様の言葉で、会話を体験させ、「言葉・文・文章」を理解し成長しているのです。

 以上、どの年齢のお子様にも、「大人の言葉」で分かるまで、納得のゆく「聞かせる」母親の生活態度こそが、あらゆる知性を伸ばす所以だと締めくくりたいと思います。




東学_下層02