中川産科婦人科ドクターのプレママセミナー

第25回:妊娠中のトキソプラズマ感染について


トキソプラズマは動物や鳥が持っている寄生虫の一種。
人にも感染しますが、大人であればほとんど症状は出ません。
しかし妊娠中に感染すると、胎児に悪影響を与える心配があります。
トキソプラズマ感染の原因、検査、予防法などをお伝えします。

1)トキソプラズマとは

 トキソプラズマは、多くの動物の体内や排泄物、土壌に存在し、ヒトなどの哺乳動物や鳥類に感染する寄生虫で、ネコ科の動物の体内で繁殖します。通常、健康な大人が感染しても、発熱やリンパ腺が腫れるといった風邪のような症状が出るだけです。また、一度感染すると生涯にわたって免疫が続くとされています。
 妊娠直前や妊娠中に初めて感染した場合には、流産や死産のほか精神・運動発達の遅れや視力障害などを起こす「先天性トキソプラズマ症」を発症することがありますが、その頻度は出生1万人あたり1.2人と稀です。

2)トキソプラズマの検査と治療

 トキソプラズマに対する免疫(IgG抗体)を有するかどうかは血液検査でわかります。日本の妊婦さんの殆どは抗体を持っていない(陰性)ため、妊娠中に感染しない注意が必要です。
 一方、陽性はトキソプラズマに感染したことを意味しますが、「いつ初感染したのか」を知るためにIgM抗体やIgGアビディティ(抗体結合力を調べる)検査を行います。その結果「妊娠前の感染」と判断されれば心配ありませんが、「妊娠中の初感染」の場合は先天性トキソプラズマ症の重症化を防ぐ薬を使うこともあります。

3)トキソプラズマの感染予防

 トキソプラズマの感染を防ぐため、妊娠中に生肉や生ハム、サラミなどを食べることは避け、肉は十分に加熱して下さい。包丁やまな板などの洗浄や使い分けも重要です。
 土や砂にはネコの糞が混在している可能性があり、妊娠中はガーデニングや砂遊びを避けましょう。どうしてもという場合は手袋を使用し、作業後はしっかり手洗いをしてください。ネコを飼っている方は、ネコに生肉を与えず、トイレは妊婦以外の方が毎日掃除しましょう。また、外での感染を防ぐためにネコを屋外に出さないで下さい。
 お腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があるトキソプラズマですが、必要以上に恐れることなく、正しい知識を得て予防に努めましょう。


43_中川_トキソプラズマの感染経路





43_中川産科婦人科_羽山先生