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第33回:優しさはどこから


 先日、本校の卒業生のお父さんから、すてきなお話を聞きました。その方は、毎朝、登下校の見守りをしてくださっているのですが、折りしも雨がポツポツと降ってきた朝のこと、通学する児童生徒が大勢で道を歩いていきます。そのとき、通りかかった本校の二人の女の子が「これを使ってください。」と言って、一本の傘をさし出して、自分たちは一人分の傘に二人仲良く入って学校へと向かったと聞きました。思いもよらぬ親切を喜んでくださり、うれしそうに話してくださいました。このようなすてきな行いは、どのようにして育まれたのでしょうか。


●人の気持ちに共感できる感性

 まず、人の様子をよく見て、「たいへんだなあ。困っていらっしゃるのではないかな。」などと相手の気持ちを感じたり共感したりする心、感性が必要です。教室を見渡すと、困っている友だちの様子に気づいて、さっと手を差し伸べる子がいます。周りの様子や人、いろいろなことに関心を持っている証拠です。現在、授業では、グループ学習やペアで話し合うことが頻繁に行われます。自分の考えを表現するだけでなく、相手の意見を分かろうとする、受容しようとする気持ちや心は、日々の暮らしの中でも身につけることができます。


●勇気と体験

 よい行いをするとき、気づくだけでなく、大きな勇気も要ります。親切にしたらいいなと思っても、言葉にしたり行動に移したりするとき、一歩が踏み出せないこともあります。そのような時に自分が受けた優しさの体験がぐっと背中を押してくれることもあるでしょう。優しさに包まれた心地よさやうれしさが、大きければ大きいほど、優しさの輪が人から人へと広がっていくにちがいありません。


●人から学ぶ優しさ

 赤ちゃんが身近な人の手遊びなどを見て、同じようにまねると、見ていた人は「じょうず、じょうず。」とにこにこしながらたいそう喜びます。身近な人が喜ぶ表情を見てますます赤ちゃんもうれしくなり、何度も何度も繰り返して上手に手遊びができるようになります。このように、「学ぶ」ということの原点には「まねる、まねぶ」ということがあると聞いたことがあります。小さな幼子でさえ、すでに、高齢の祖父母へ思いやりのしぐさを見せることもあります。優しさの種は、日々のくらしの中で蒔かれているのです。
 前述の二人の児童が家庭でどのような優しさに包まれて育ってきたか知りたくなったのは、私だけでしょうか。




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