子供の◯◯についてお話します。

おたふくかぜについてお話しします。

●はじめに
 おたふくかぜは、正式には「流行性耳下腺炎」といわれ、ムンプスウイルスの感染によります。耳下腺(耳の下の唾液腺)や顎下腺(顎の下の唾液腺)が、腫れて痛くなる病気です。多くは両側性ですが、25%では片側だけです。両側の耳下腺がしっかり腫れると、「おたふく」のお面のようになるので、この名前で呼ばれています。

●臨床症状
 3~6歳での発症が多く、2~3週間の潜伏期を経て、唾液腺の腫脹、圧痛、嚥下痛、発熱がみられ、通常1週間程度で軽快します。合併症で最も多い無菌性髄膜炎は、1~10%に出現し、比較的軽症です。年長児や成人がかかると重症化しやすく、合併症の頻度も高くなります。思春期以降では、男性で20~40%に睾丸炎、女性で5~7%に卵巣炎を合併します。他の合併症として、難聴、脳炎、膵炎があげられます。100~1000人に1人が難聴になり、そのうちの約10%が、両側性の難聴です。不顕性感染でも難聴になることがあります。

●治療
 有効な抗ウイルス剤はなく、発熱、痛みに対して解熱鎮痛剤を投与します。食事は軟らかいもので、薄味にしましょう。髄膜炎合併例では安静にして、脱水のみられる症例では、輸液を行います。難聴には治療法がありません。

●予防はワクチンのみ
 集団生活に入る前のワクチン接種が、最も有効な感染予防法です。1歳代と就学前1年間の2回接種が、推奨されています。現時点では任意接種で、全額自費負担です。90%前後が有効なレベルの抗体を獲得し、接種者での罹患は1~3%程度で、未接種者に比べ軽症です。ワクチンの副反応として、2週間前後に軽度の耳下腺腫脹と微熱が数%あります。無菌性髄膜炎が0.01〜0.1%の頻度でみられますが、適切に治療すれば後遺症は生じません。

●感染期間、感染経路
 感染期間は、発病数日前から発症後5日を経過するまでで、感染経路は飛沫感染と接触感染です。予防には手洗い、マスクがある程度有効で、家庭内でもできる限り患者を隔離しましょう。「流行性耳下腺炎」は、学校保健安全法の第2種の感染症に定められており、唾液腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで、出席停止とされています。

●おわりに
 おたふくかぜは実際にかかって免疫がついた方がよい、と思っていらっしゃいませんか? 日本耳鼻咽喉科学会は、2年間で約350人がムンプス難聴にかかり、8割以上が高度、重度の難聴だった、と報告しています。不顕性感染でも難聴になるとしたら、恐ろしい話ですね。ムンプス難聴の予防のために、ぜひワクチンを接種しましょう。

野村真二院長